2008年07月09日
紙婚式
山本文緒の短編集「紙婚式
」を紹介します。
結婚後の夫婦に的を絞った短編集です。
表題作「紙婚式」の他にも、「子宝」、「秋茄子」などいくつか収録されています。
私のお気に入りは「おしどり」ですね。
一見とても仲がよく、結婚後5年経っても結婚当初の雰囲気を失っていない夫婦がいます。それを見ている夫の妹は、その幸せに”危うさ”を見ます。そして物語の中で、妻いずみは一度夫から離れます。結局最後には戻ってくるのですけど、そのときの、「でも上辺を繕う努力もしなくなったら、何もなくなっちゃうのよ。形をつくれば中身は後からついてくるかもしれないじゃない」というセリフが好きでした。よく些細な理由で別れるカップルとか夫婦とかいますけど、そりゃあ縁もなかったんだろうしその場の勢いって意外と大きいのでしょうけど、でも、決定打を打ち込む前に、少し我慢するなり相手に苦痛を伝えてみるなりの、”努力”が必要だと、そう思うので。
やはり自分が共感できることが書いてある物語は好きになりますよね。当たり前でしょうけど。
この本を読んで、結婚に嫌気が差すか、それが当然と受け止めるかは、人それぞれですよね。
結婚後の夫婦に的を絞った短編集です。
表題作「紙婚式」の他にも、「子宝」、「秋茄子」などいくつか収録されています。
私のお気に入りは「おしどり」ですね。
一見とても仲がよく、結婚後5年経っても結婚当初の雰囲気を失っていない夫婦がいます。それを見ている夫の妹は、その幸せに”危うさ”を見ます。そして物語の中で、妻いずみは一度夫から離れます。結局最後には戻ってくるのですけど、そのときの、「でも上辺を繕う努力もしなくなったら、何もなくなっちゃうのよ。形をつくれば中身は後からついてくるかもしれないじゃない」というセリフが好きでした。よく些細な理由で別れるカップルとか夫婦とかいますけど、そりゃあ縁もなかったんだろうしその場の勢いって意外と大きいのでしょうけど、でも、決定打を打ち込む前に、少し我慢するなり相手に苦痛を伝えてみるなりの、”努力”が必要だと、そう思うので。
やはり自分が共感できることが書いてある物語は好きになりますよね。当たり前でしょうけど。
この本を読んで、結婚に嫌気が差すか、それが当然と受け止めるかは、人それぞれですよね。
2008年06月07日
ハッピー・ロード
車を題材にした短編集「ハッピー・ロード
」を紹介します。
いや、ほっとんど知らない車なんですけどね。
物語もよくある恋物語なんですけど、これがなぜかおしゃれ。車が題材だからでしょうか?恋物語だからでしょうか?
女性センターにありますので。
私が一番気に入ったのは、表題作「ハッピー・ロード」です。
いや、ほっとんど知らない車なんですけどね。
物語もよくある恋物語なんですけど、これがなぜかおしゃれ。車が題材だからでしょうか?恋物語だからでしょうか?
女性センターにありますので。
私が一番気に入ったのは、表題作「ハッピー・ロード」です。
2008年05月08日
われも恋う
短編小説集「われも恋う
」です。短編集とは言っても、連作短編、物語は独立しているようでつながっているんですけどね。
同じ花を題材にした小説として、前に「小さな花物語」を紹介しました。「われも恋う」は、それとは違い、花を巡る人々の物語です。
ベースになっているのは、主人公・徹からサークルのアイドルの有紀子への恋心です。
花が好きな彼女が、ふと「花屋で働いてみたい」と言った一言で、徹は花屋でのアルバイトを始めることになりました。お客さんとして来る人たちの恋の小さなお手伝いをしながら、徹と有紀子の恋も始まります。見ていてもどかしい恋の結末は果たして――?
どの短編でも、花が恋における重要なアイテムとして、上手く使われている感がありました。
短編「われもこう」での扱われ方が、一番私は好きです。実際に買われるわけでもなく、ただ、珍しい名前から少しだけ会話の種になっただけの花。誰かの手に触れたわけでもないけれど、それは徹に大事なことを認識させました。具体的には、読んでからのお楽しみ、ですけれど。
そして最後の最後の
「彼女の抱えている包みは、ノーマン・ロックウェルの画集と同じ大きさだ。」
の一文に、じんと来て下さい。
私はこの一文だけで、この一連の物語が大好きになりました。
同じ花を題材にした小説として、前に「小さな花物語」を紹介しました。「われも恋う」は、それとは違い、花を巡る人々の物語です。
ベースになっているのは、主人公・徹からサークルのアイドルの有紀子への恋心です。
花が好きな彼女が、ふと「花屋で働いてみたい」と言った一言で、徹は花屋でのアルバイトを始めることになりました。お客さんとして来る人たちの恋の小さなお手伝いをしながら、徹と有紀子の恋も始まります。見ていてもどかしい恋の結末は果たして――?
どの短編でも、花が恋における重要なアイテムとして、上手く使われている感がありました。
短編「われもこう」での扱われ方が、一番私は好きです。実際に買われるわけでもなく、ただ、珍しい名前から少しだけ会話の種になっただけの花。誰かの手に触れたわけでもないけれど、それは徹に大事なことを認識させました。具体的には、読んでからのお楽しみ、ですけれど。
そして最後の最後の
「彼女の抱えている包みは、ノーマン・ロックウェルの画集と同じ大きさだ。」
の一文に、じんと来て下さい。
私はこの一文だけで、この一連の物語が大好きになりました。
2008年01月12日
小さな花物語
物語の一つ一つは短いけれど。
どこか、暖かい気持ちになれる、それが童話です。
今回紹介するのは、身の回りにある沢山の花たちにまつわる、沢山の童話。「小さな花物語
」です。
スイレンとかタンポポとか朝顔とかコスモスとかモミの木とか、身近にある花や木が主役です。
気に入ったのを幾つかPick Upしますね。
まずは、モクセイの物語。恋人に去られてもなお、自分の夢を実現させようとひたすら一途な調香師に訪れた、幸せな結末。柔らかくて読後感が暖かい物語でした。
モミの木の物語。女の子と一緒に成長したモミの木。成長した女の子の「お母さんが、あなたくらいのときに植えたもみの木よ」という言葉と、その女の子の娘が死んだ母(=その女の子です)にそっと言った「さいごまで、もみの木はお母さんといっしょと」という言葉。この二つにモミの木と女の子の不思議な絆を見たようで、すごく、すごく好きです。
全部で48もの花の物語があります。
きっとお気に入り、見つかります。
どこか、暖かい気持ちになれる、それが童話です。
今回紹介するのは、身の回りにある沢山の花たちにまつわる、沢山の童話。「小さな花物語
スイレンとかタンポポとか朝顔とかコスモスとかモミの木とか、身近にある花や木が主役です。
気に入ったのを幾つかPick Upしますね。
まずは、モクセイの物語。恋人に去られてもなお、自分の夢を実現させようとひたすら一途な調香師に訪れた、幸せな結末。柔らかくて読後感が暖かい物語でした。
モミの木の物語。女の子と一緒に成長したモミの木。成長した女の子の「お母さんが、あなたくらいのときに植えたもみの木よ」という言葉と、その女の子の娘が死んだ母(=その女の子です)にそっと言った「さいごまで、もみの木はお母さんといっしょと」という言葉。この二つにモミの木と女の子の不思議な絆を見たようで、すごく、すごく好きです。
全部で48もの花の物語があります。
きっとお気に入り、見つかります。
2007年11月18日
恋する四字熟語
「恋する四字熟語
」。様々な四字熟語にそって綴られる、恋の物語とエッセイ集です。
恋っていいなぁと、そう思いました。それが一番の読後感です。この物語に書かれている恋は、甘やかで一筋縄ではいかなくて強かで切なくて……恋愛のいろいろな側面を綺麗に拾っています。久しぶりに、こんな素敵な恋が出来たらな、なんて思ってしまいました。
エッセイというか、恋愛をからめた四字熟語の解説があるのですが、それはそれでまた、くすっと笑える作品が多かったです。ああいうウィットに富んだエッセイ&イラストは好きです。
恋っていいなぁと、そう思いました。それが一番の読後感です。この物語に書かれている恋は、甘やかで一筋縄ではいかなくて強かで切なくて……恋愛のいろいろな側面を綺麗に拾っています。久しぶりに、こんな素敵な恋が出来たらな、なんて思ってしまいました。
エッセイというか、恋愛をからめた四字熟語の解説があるのですが、それはそれでまた、くすっと笑える作品が多かったです。ああいうウィットに富んだエッセイ&イラストは好きです。
2007年11月14日
ボロボロになった人へ
「ボロボロになった人へ
」。「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
」を書いたリリー・フランキーの短編集です。
「大麻農家の花嫁」とあと一つ、どんな犯罪でもすぐ死刑になる世の中の物語(タイトルを失念しました)があって、その二つが好きでした。
前者は、主人公がやっと見つけた"自分が必要とされている場所"が大麻農家だというユーモアが面白くて。豪農でお金に困らないし、花婿は自分に惚れてくれるし、周りは気さくな人たちばかり。そんな、田舎だけど理想的な状況なのに、作っているものは限りなく反社会的なもの。その二面性というか、ギャップが面白いと思いました。
後者は、全体的に漂うシュールさが好きですね。万引きでも殺人でも、とにかく犯罪者は誰でも死刑になるという社会。弁護士は、死刑の内容について、犯罪者を弁護し、少しでも軽い楽な死に方に導こうとする。そして誰でも死刑になると言うことは、弁護士も言ってますが、確かに平等なことなのです。懲役で生かすことによる国費の無駄もない。正しいのに、どこか冷えていると言うか、おかしいのです。結局、主人公の死刑は腹上死になったのですが……。
癖のある物語が詰まっています。
「大麻農家の花嫁」とあと一つ、どんな犯罪でもすぐ死刑になる世の中の物語(タイトルを失念しました)があって、その二つが好きでした。
前者は、主人公がやっと見つけた"自分が必要とされている場所"が大麻農家だというユーモアが面白くて。豪農でお金に困らないし、花婿は自分に惚れてくれるし、周りは気さくな人たちばかり。そんな、田舎だけど理想的な状況なのに、作っているものは限りなく反社会的なもの。その二面性というか、ギャップが面白いと思いました。
後者は、全体的に漂うシュールさが好きですね。万引きでも殺人でも、とにかく犯罪者は誰でも死刑になるという社会。弁護士は、死刑の内容について、犯罪者を弁護し、少しでも軽い楽な死に方に導こうとする。そして誰でも死刑になると言うことは、弁護士も言ってますが、確かに平等なことなのです。懲役で生かすことによる国費の無駄もない。正しいのに、どこか冷えていると言うか、おかしいのです。結局、主人公の死刑は腹上死になったのですが……。
癖のある物語が詰まっています。
2007年11月11日
熱帯植物園
短編小説集をご紹介。「熱帯植物園
」です。
どこか壊れた印象のある物語が殆どです。というよりは、全て、に近いですね。
表題作でもある「熱帯植物園」が、やはり私の一番のお気に入りです。由美と出会って由美とリエの間を行き来する主人公・由美。と、こう書くと「は?」と思うでしょうか。そう思った方は、手に取ってください。熊本市立図書館にあります。結局リエになった由美は由美に戻るのですけど、もう一人の由美の正体を知ったとき、ああそうだったのかと、はっとしてしまいました。
一気に読めた面白い、興味深い短編小説集でした。秋の夜長にじっくり読むのも、また一興かも知れませんね。
どこか壊れた印象のある物語が殆どです。というよりは、全て、に近いですね。
表題作でもある「熱帯植物園」が、やはり私の一番のお気に入りです。由美と出会って由美とリエの間を行き来する主人公・由美。と、こう書くと「は?」と思うでしょうか。そう思った方は、手に取ってください。熊本市立図書館にあります。結局リエになった由美は由美に戻るのですけど、もう一人の由美の正体を知ったとき、ああそうだったのかと、はっとしてしまいました。
一気に読めた面白い、興味深い短編小説集でした。秋の夜長にじっくり読むのも、また一興かも知れませんね。
2007年10月22日
ショート・トリップ
短編集「ショート・トリップ
」をご紹介。短編集というか、掌編集なんでうsけどね。ショート・ショート集です。
"旅"に関する物語が全部で編綴られています。
中でも「ヒッチハイカー・ヨーコ」と「旅人の椅子」はお気に入りです。前者の謎過ぎる謎と、後者の人を選ぶ不思議な切り株が。特に後者は御伽噺代わりに話すのもいいですよね。旅に限らず、通過儀礼や登竜門は、様々な世界にあるものですしね。あるいはそれは何かの作品賞なのかも知れません。「旅人の椅子」の切り株のほうが、よっぽど夢はありますが。
こういう掌編の物語を覚えて普通の会話に混ぜるの、おもしろそうですね……!
"旅"に関する物語が全部で編綴られています。
中でも「ヒッチハイカー・ヨーコ」と「旅人の椅子」はお気に入りです。前者の謎過ぎる謎と、後者の人を選ぶ不思議な切り株が。特に後者は御伽噺代わりに話すのもいいですよね。旅に限らず、通過儀礼や登竜門は、様々な世界にあるものですしね。あるいはそれは何かの作品賞なのかも知れません。「旅人の椅子」の切り株のほうが、よっぽど夢はありますが。
こういう掌編の物語を覚えて普通の会話に混ぜるの、おもしろそうですね……!
2007年10月02日
恋する音楽小説
ゲームばっかり紹介してないで、本も紹介してみましょうか。「恋する音楽小説
」です。
クラシックの名曲やジャズなど、音楽に関した短い物語が幾つも収録された短編集です。
元の曲を知っていても、知らなくても、楽しめます。解説本ではなく、l物語ですからね。中でも私の一番のおススメは「あたいはドルシネーア」と「チーズ屋のオーロラ姫」です。前者は、周りからも男みたいだとからかわれ、女としての自分に自信の持てなくなった女の子の物語。後者は、糸紡ぎが大好きで、紡ぎ車を焼くよう命じた王様に反抗しようと城に出掛けていく女の子の物語。どっちも、主人公と彼女を取り巻く準主人公が好きでした。
一度お手に取ってみては?
クラシックの名曲やジャズなど、音楽に関した短い物語が幾つも収録された短編集です。
元の曲を知っていても、知らなくても、楽しめます。解説本ではなく、l物語ですからね。中でも私の一番のおススメは「あたいはドルシネーア」と「チーズ屋のオーロラ姫」です。前者は、周りからも男みたいだとからかわれ、女としての自分に自信の持てなくなった女の子の物語。後者は、糸紡ぎが大好きで、紡ぎ車を焼くよう命じた王様に反抗しようと城に出掛けていく女の子の物語。どっちも、主人公と彼女を取り巻く準主人公が好きでした。
一度お手に取ってみては?
2007年09月14日
掌の中の小鳥
「掌の中の小鳥 (創元推理文庫)
」。連作短編集です。
紗英のきついけれどどこまでも素直な性格と、彼女にちょっと振り回され気味の主人公と、二人を取り巻く様々な人々、上品で静謐な謎を備え持つ<エッグ・スタンド>……二人の出会いから始まったこれらの物語は、必ず何がしかの謎と答えが用意されています。すべての物語が、「ああ、そういうことだったのか」と思わずぽんと手を叩きたくなるような話に仕上がっています。物語が進むにつれ、徐々にわかってくる二人以外の登場人物たちの姿も併せて、何度か読みたい一冊です。
連作短編は、区切って読める、忙しい人にぴったりな長編小説だと思うのです。
紗英のきついけれどどこまでも素直な性格と、彼女にちょっと振り回され気味の主人公と、二人を取り巻く様々な人々、上品で静謐な謎を備え持つ<エッグ・スタンド>……二人の出会いから始まったこれらの物語は、必ず何がしかの謎と答えが用意されています。すべての物語が、「ああ、そういうことだったのか」と思わずぽんと手を叩きたくなるような話に仕上がっています。物語が進むにつれ、徐々にわかってくる二人以外の登場人物たちの姿も併せて、何度か読みたい一冊です。
連作短編は、区切って読める、忙しい人にぴったりな長編小説だと思うのです。
2007年07月26日
東京夜話
「東京夜話
」。文庫本です。
いしいしんじ著の短編集。「クリスマス追跡」「そこにいるの?」など、全18編収録されています。全体的に、童話のような印象は受けます。あるいは、ファンタジーの混ざった短編。……そういえば、一編だけ、物語ではないものが混ざってましたね……。
恒例、私の好きな短編ピックアップといきましょうか。
今回の(私から見て)主役は「クロマグロとシロザケ」。クロマグロ視点で綴られていく純愛物語なのですが、クロマグロが普段考えていることを垣間見れておもしろいです。泳ぎ続けなければならないことや、食べるということ、産卵、すでに敷かれたレール。その中でシロザケと出会って、クロマグロ、シロザケ双方に変化が訪れる……新鮮ですし、魚どうしの純愛物語、ユーモラスだと思いませんか?
「天使はジェット気流に乗って」も好きですね。自分のことを粗悪品だと認めながらも、ダッチワイフであることに誇りを持ち、一生懸命生きてる"彼女"……「アナガアイタラ、モウダメ」。「ワタシハ、ダッチワイフダカラ」……それらの言葉を遺して壊れてしまう、そのときまで、ただひたすら、一生懸命に、真っ直ぐに。その姿に、思うところがあるのです。
短編集って、気軽に読めるからいいですよね。
いしいしんじ著の短編集。「クリスマス追跡」「そこにいるの?」など、全18編収録されています。全体的に、童話のような印象は受けます。あるいは、ファンタジーの混ざった短編。……そういえば、一編だけ、物語ではないものが混ざってましたね……。
恒例、私の好きな短編ピックアップといきましょうか。
今回の(私から見て)主役は「クロマグロとシロザケ」。クロマグロ視点で綴られていく純愛物語なのですが、クロマグロが普段考えていることを垣間見れておもしろいです。泳ぎ続けなければならないことや、食べるということ、産卵、すでに敷かれたレール。その中でシロザケと出会って、クロマグロ、シロザケ双方に変化が訪れる……新鮮ですし、魚どうしの純愛物語、ユーモラスだと思いませんか?
「天使はジェット気流に乗って」も好きですね。自分のことを粗悪品だと認めながらも、ダッチワイフであることに誇りを持ち、一生懸命生きてる"彼女"……「アナガアイタラ、モウダメ」。「ワタシハ、ダッチワイフダカラ」……それらの言葉を遺して壊れてしまう、そのときまで、ただひたすら、一生懸命に、真っ直ぐに。その姿に、思うところがあるのです。
短編集って、気軽に読めるからいいですよね。
2007年07月24日
光の帝国
記念すべき400記事目で取り上げるのは……「光の帝国―常野物語
」です。文庫本です。
前に一度、図書館で借りて読んだことがあって、そのときにべた惚れした小説です。このたび、書店で出会うことができ、購入しました。
「常野」と呼ばれる一族を巡る、連作短編集です。
一つ一つは独立している短編なのですが、全体的に一つになろうとする大きな流れを漢字ながら読み進めていくと、次の物語を読むのが楽しみになっていきます。最終的には、何か大きなことを成し遂げる特別な人物が現れるところで終わっていて、叶うならば続編を読みたいと思ってしまいます。
短編として一つ一つを見ていきましょう。
私が一番好きなのは、「草取り」です。当たり前の日常に、突如として生える"草"。それは、普通は目に見えないけど、一度見えてしまうと、今度は必ず目につく。毒々しいそれは、建物を、人を、ひいては世界をのっとっていく……ほんの一皮剥いただけで現れる日常の真の姿に、静かな恐怖を感じました。
関連して、「オセロ・ゲーム」も迫る恐怖があります。
ほんとに、続編が読みたい……!
前に一度、図書館で借りて読んだことがあって、そのときにべた惚れした小説です。このたび、書店で出会うことができ、購入しました。
「常野」と呼ばれる一族を巡る、連作短編集です。
一つ一つは独立している短編なのですが、全体的に一つになろうとする大きな流れを漢字ながら読み進めていくと、次の物語を読むのが楽しみになっていきます。最終的には、何か大きなことを成し遂げる特別な人物が現れるところで終わっていて、叶うならば続編を読みたいと思ってしまいます。
短編として一つ一つを見ていきましょう。
私が一番好きなのは、「草取り」です。当たり前の日常に、突如として生える"草"。それは、普通は目に見えないけど、一度見えてしまうと、今度は必ず目につく。毒々しいそれは、建物を、人を、ひいては世界をのっとっていく……ほんの一皮剥いただけで現れる日常の真の姿に、静かな恐怖を感じました。
関連して、「オセロ・ゲーム」も迫る恐怖があります。
ほんとに、続編が読みたい……!
2007年07月06日
スカーレット・スターの耀奈
「スカーレット・スターの耀奈(ヨーナ)
」。文庫本です。結構古い本かも知れません。
短編集で、四篇の物語が収録されています。
「ドリーム・スターの亜眠」。主人公の、一見気違いとも思える決断を受け入れる、宇宙探索の仲間たちの、さばけたところが好きですね。お互いに守るものもないからこそ、何らかの害がない限り、個人の自由はぎりぎりまで尊重される――"守るものがないからこそ"。自由の代償はなんと大きいのか、とも思います。……ちょっと違いますかね?
まあ、私が一番好きなのは表題作「スカーレット・スターの耀奈」なんですけどね。
短編集で、四篇の物語が収録されています。
「ドリーム・スターの亜眠」。主人公の、一見気違いとも思える決断を受け入れる、宇宙探索の仲間たちの、さばけたところが好きですね。お互いに守るものもないからこそ、何らかの害がない限り、個人の自由はぎりぎりまで尊重される――"守るものがないからこそ"。自由の代償はなんと大きいのか、とも思います。……ちょっと違いますかね?
まあ、私が一番好きなのは表題作「スカーレット・スターの耀奈」なんですけどね。
2007年06月13日
グリーン・レクイエム
「グリーン・レクイエム
」。文庫本です。
表題作含む三本の掌編~中篇が収録されています。
私が今回Pick Up!するのは、「週に一度のお食事を」。簡単に言えば、吸血鬼のお話です。主人公が、吸血鬼の痴漢にキスされて、いきなり吸血鬼になるというもの。しかし、悲観する様子は殆ど読み取れません。主人公は、冷静に、「食費タダ、オマケに不老不死」であることを楽しんでいるのです。挙句の果てには、日本の中で吸血鬼人口がどんどん増えていっているし……。
見事なまでにポジティブな吸血鬼の物語です。
最後の最後に、末恐ろしいことがさらりと書かれていますけど☆
表題作含む三本の掌編~中篇が収録されています。
私が今回Pick Up!するのは、「週に一度のお食事を」。簡単に言えば、吸血鬼のお話です。主人公が、吸血鬼の痴漢にキスされて、いきなり吸血鬼になるというもの。しかし、悲観する様子は殆ど読み取れません。主人公は、冷静に、「食費タダ、オマケに不老不死」であることを楽しんでいるのです。挙句の果てには、日本の中で吸血鬼人口がどんどん増えていっているし……。
見事なまでにポジティブな吸血鬼の物語です。
最後の最後に、末恐ろしいことがさらりと書かれていますけど☆
2007年06月07日
コンビニ・ララバイ
「コンビニ・ララバイ
」をご紹介。最近あんまり時間が無くて、本ばっかり紹介しているような気がしてきました……。
コンビニ「ミユキマート」を舞台にした連作短編集です。とはいえ、「ミユキマート」、24時間営業ではないんですけど。物語の最後で終夜営業を決意するまでは。
短編集なので、色々な物語が詰まっていてお得なんですが……最後の「ベンチに降りた奇跡」が一番お気に入りにです。老人の淡い恋と、それがもたらした信じられない奇跡――まさに物語の中でしか有り得ないような、物語だからこそ素直に受け取って感動できるような、そんな奇跡が降りてきたのです。
気になる方は、手にとってお読みくださいな。
コンビニ「ミユキマート」を舞台にした連作短編集です。とはいえ、「ミユキマート」、24時間営業ではないんですけど。物語の最後で終夜営業を決意するまでは。
短編集なので、色々な物語が詰まっていてお得なんですが……最後の「ベンチに降りた奇跡」が一番お気に入りにです。老人の淡い恋と、それがもたらした信じられない奇跡――まさに物語の中でしか有り得ないような、物語だからこそ素直に受け取って感動できるような、そんな奇跡が降りてきたのです。
気になる方は、手にとってお読みくださいな。
2007年06月05日
姫椿
「姫椿
」をご紹介。文庫本です。浅田次郎の。
つい最近紹介した「薔薇盗人」と同じく、短編集です。
「(xie)」とか表題作「姫椿」とか好きなんですけど、私が一番気に入ったのは、最後の「永遠の縁」です。
>こんなに不器用な父と、一生うまく付き合っていくことのできる人は、たぶんあの人しかいないと思う。
不器用な婿さんが、段ボールに紙コップを載せて戻ってきた。
ここのくだりが好きで。なんか、微笑ましいというか。ハッピーエンドでよかったなというか。不器用な人って、確かに周りにいますよね。不器用な人の精一杯の感情表現を、ひいては愛情表現を、同じくらい精一杯に拾い上げようとする様子とか、いじらしいけど、和むんですよね。根底にあるものが暖かいものだから、でしょうか……。
ところで「(xie)」には漢字表記があるのですが、あれ、出るのかなぁ。
つい最近紹介した「薔薇盗人」と同じく、短編集です。
「(xie)」とか表題作「姫椿」とか好きなんですけど、私が一番気に入ったのは、最後の「永遠の縁」です。
>こんなに不器用な父と、一生うまく付き合っていくことのできる人は、たぶんあの人しかいないと思う。
不器用な婿さんが、段ボールに紙コップを載せて戻ってきた。
ここのくだりが好きで。なんか、微笑ましいというか。ハッピーエンドでよかったなというか。不器用な人って、確かに周りにいますよね。不器用な人の精一杯の感情表現を、ひいては愛情表現を、同じくらい精一杯に拾い上げようとする様子とか、いじらしいけど、和むんですよね。根底にあるものが暖かいものだから、でしょうか……。
ところで「(xie)」には漢字表記があるのですが、あれ、出るのかなぁ。
2007年06月03日
ドラゴンクエスト4 知られざる伝説
「ドラゴンクエスト4―知られざる伝説
」をご紹介。ドラクエ4の、サイドストーリー集みたいなものです。
全部で14の物語が収録されています。うち、幾つか好きなものをPick Upしてみましょうか。
「ロザリーヒルの老人」。神の使いとしてロザリーヒルに遣わされたのに、ピサロとロザリーの恋路を見て、報告をやめてしまうところが。というか、ホビットの要求に答えて、段々何でも屋さんっぽくなる老人も好きかも。
「ホイミンの夢」。人間になったホイミンのイラストがかっこいいです。以上。……うわぁ、物語関係ねぇ……。
「ピサロナイトの涙」。主君に仕えるために、自分の恋を封じ、名前も捨てた騎士アドンがいたたまれなくて。でも、そういう一途な忠誠心、好きなんですよね……。そう考えると、久美佐織さんの小説に出てくるピサロナイトに、妙に感情移入してしまったり……。
14もあるので、何かお気に入りの小説、きっと見つかります。
」をご紹介。ドラクエ4の、サイドストーリー集みたいなものです。
全部で14の物語が収録されています。うち、幾つか好きなものをPick Upしてみましょうか。
「ロザリーヒルの老人」。神の使いとしてロザリーヒルに遣わされたのに、ピサロとロザリーの恋路を見て、報告をやめてしまうところが。というか、ホビットの要求に答えて、段々何でも屋さんっぽくなる老人も好きかも。
「ホイミンの夢」。人間になったホイミンのイラストがかっこいいです。以上。……うわぁ、物語関係ねぇ……。
「ピサロナイトの涙」。主君に仕えるために、自分の恋を封じ、名前も捨てた騎士アドンがいたたまれなくて。でも、そういう一途な忠誠心、好きなんですよね……。そう考えると、久美佐織さんの小説に出てくるピサロナイトに、妙に感情移入してしまったり……。
14もあるので、何かお気に入りの小説、きっと見つかります。
2007年05月29日
薔薇盗人
何だか久々の更新です。今日は「薔薇盗人
」をご紹介。文庫本です。
短編集です。全部で6編の短編小説が収録されています。
「奈落」。会話だけで構成された珍しい作品です。飄々とした表現の中に、ちらりと怖い何かが垣間見えます。最後の会長たちの会話は、その何かに気づき怯えたものでしたっけ。
「薔薇盗人」。ダディへの手紙を通して綴られる少年の日常の物語。イギリスというか、洋風な書き方や暮らしぶりにちょっと羨望を覚えました。
以上の二つが私のお気に入りです。
他の物語も好きですけどね。「あじさいい心中」とか。
短編集です。全部で6編の短編小説が収録されています。
「奈落」。会話だけで構成された珍しい作品です。飄々とした表現の中に、ちらりと怖い何かが垣間見えます。最後の会長たちの会話は、その何かに気づき怯えたものでしたっけ。
「薔薇盗人」。ダディへの手紙を通して綴られる少年の日常の物語。イギリスというか、洋風な書き方や暮らしぶりにちょっと羨望を覚えました。
以上の二つが私のお気に入りです。
他の物語も好きですけどね。「あじさいい心中」とか。
2007年04月23日
ドラゴンクエスト アイテム物語
「ドラゴンクエスト アイテム物語
」をご紹介。前に紹介したこれの姉妹編みたいなものです。
舞台はやはりロトシリーズのドラゴンクエストの世界です。
今度はアイテムが舞台です。「ラーの鏡」の物語は、ドラクエ世界の神話ですね。ラーやミトラ神が出てきます。「賢者の石」の物語はかなりユニーク。だって、中にホイミスライムが沢山詰まっているとか、誰が考え付くものでしょうか……。「変化の杖」の物語も好きですね。ベビーサタン(でしたよね)のにくめなさっぷりが。
他には「王者の剣」なども取り上げられていましたっけ。
やはりドラクエ世界をより知りたい方に、おススメです。
舞台はやはりロトシリーズのドラゴンクエストの世界です。
今度はアイテムが舞台です。「ラーの鏡」の物語は、ドラクエ世界の神話ですね。ラーやミトラ神が出てきます。「賢者の石」の物語はかなりユニーク。だって、中にホイミスライムが沢山詰まっているとか、誰が考え付くものでしょうか……。「変化の杖」の物語も好きですね。ベビーサタン(でしたよね)のにくめなさっぷりが。
他には「王者の剣」なども取り上げられていましたっけ。
やはりドラクエ世界をより知りたい方に、おススメです。
2007年04月19日
ドラゴンクエスト モンスター物語
「ドラゴンクエスト モンスター物語
」をご紹介。単行本です。
この本、その名の通り、モンスターたちの物語が綴られています。
ベースとなっているのは「ドラゴンクエストⅢ」です。他にⅠとかⅡとかも踏まえていますけど。正確には、ロトシリーズのドラクエをベースにしています。
悪魔の騎士にまつわる悲しい物語や、ちょっと微笑ましい爆弾岩の物語、果ては強さに一途なベビーサタンの昇級物語など……一番私が好きなのは、スライムの物語。スライムって、沢山種類がいるでしょう。バブルスライム、メタルスライム、スライムつむり……彼らは皆、もとは同じただのスライムだったのです。そこからどうやって進化していったかを描くのが、スライムの物語。かなりおもしろかったです。波乱万丈(?)な冒険物語をどうぞ。
結構手に入りにくいのが難点ですけどね。この本。
この本、その名の通り、モンスターたちの物語が綴られています。
ベースとなっているのは「ドラゴンクエストⅢ」です。他にⅠとかⅡとかも踏まえていますけど。正確には、ロトシリーズのドラクエをベースにしています。
悪魔の騎士にまつわる悲しい物語や、ちょっと微笑ましい爆弾岩の物語、果ては強さに一途なベビーサタンの昇級物語など……一番私が好きなのは、スライムの物語。スライムって、沢山種類がいるでしょう。バブルスライム、メタルスライム、スライムつむり……彼らは皆、もとは同じただのスライムだったのです。そこからどうやって進化していったかを描くのが、スライムの物語。かなりおもしろかったです。波乱万丈(?)な冒険物語をどうぞ。
結構手に入りにくいのが難点ですけどね。この本。
